ガリシア州ルーゴ県
レオン県ポンフェラーダからラス・メドゥラスを経てオウレンセへ行く途中、連れに、「そういえばこの辺にローマのトンネルがあった…」と、問答無用で連れて行かれたのが、シル川(Rio Sil)の辺にあるモンテフラド村。てっきりローマ街道のトンネルかと思ったら、この『ローマ・トンネル』、人が通るためではなく水を流すためのトンネルでした。

水力による浸食で岩に穴があいたわけではなく、川筋を変えるために人工的に岩山を掘って造られたトンネルです。目的は、金の採集でした。グーグルマップで見るとよくわかりますが、シル川はこのあたりで大きく蛇行しています。トンネルを作って川筋を変え、この曲がりくねった部分の川床を露出させて、そこに堆積していた金を採集していたというわけです。

そのトンネルがある辺りからモンテフラドの村を見ると、ラス・メドゥラスのミニチュア版のような、赤土の丘(というには小さいか…大きな蟻塚のような感じ)がいくつも見えます。これも、金鉱跡です。ラス・メドゥラスに比べるとかなり小さな規模ですが、使われた採掘技術は同じ。高地から水を引いてきて、金脈の眠る場所に縦横に出口のないトンネルを掘って水を流して土砂崩れを起こし、川下でその土砂の中から金を採集していたのでした。ちなみに、地名のMonte Furadoですが、“Furar”はガリシア語で「穴をあける」という意味だそうです。

ラス・メドゥラスはもちろん、ガリシアのシル川やミーニョ川の流域、アストゥリアスには古代、金が豊富でした。「オウレンセ」の地名は、ラテン語のAuriense(金の町)が語源であるとも言われています*。
*温泉が湧くことから、aquae urente(熱い水)を語源とする説もあるそうです。いずれにせよ、日本人にはちょっと嬉しくなってしまう語源です。
現在、トンネルの長さは52メートルほどですが、もとは120メートルもあったそうです。1934年の洪水で半分ほど崩れてしまいました。この時にトンネルもふさがれ、水はもともとの川筋に戻りましたが、内戦後にトンネルが修復され現在に至ります。トンネルの上には城塞もあったそうですが、トンネルが崩れた際に城もこわれてしまったとのこと。
参照WEB
- リベラ・サクラ Ribera sacra – Túnel de Montefurado
- ガリシア鉱業協会 Cámara oficial minera de Galicia – Minas de oro de Montefurado
検索キーワード
ガリシア州 ルーゴ県 ローマ 産業遺産
